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2009年2月 1日 (日)

[天皇陛下の全仕事 (講談社現代新書)] 山本 雅人

[信任状捧呈式]
 華やかに馬車が走る

 JR東京駅丸の内中央口から西にある皇居に向かってまっすぐ伸びる幅約60メートルある道は、「御幸通り」あるいは「行幸通り」と呼ばれている。(行幸は天皇が出かけること) 1ヶ月に1~2回、この通りの、ふだん通行止めにされている中央部分の四車線分くらいのスペースが開かれ、周囲が一時的に交通規制され、車の動きが止まる。その中を、東京駅から二頭立てのえんじ色の菊の紋の入った儀装馬車がゆっくりと走り抜け、「パカパカ」という馬の足音が響き渡る。

 馬車の前部では、白い羽根のついた黒色のシルクハットに、金筋の入ったフロックコート、赤色のビロードのチョッキ姿の人が馬の操り、後部にも掌車係が乗り込む。これらは宮内庁の主馬班の職員で、そのまわりを皇宮警察を警視庁の騎馬隊の馬がガードする。
 日常とはまったく異なる世界の出現に、交差点でその風景に出会った丸の内のサラリーマンや観光客は驚き、携帯電話などで撮影する人の姿も見受けられる。

 馬車に乗っているのは、人事異動で駐日大使館に着任したばかりの外国の大使(夫妻)らで、沿道の人が手を振ると、にこやかに手を振り返す姿も見られる。
 大使らはこれから、皇居・宮殿でもっとも重要な行事の行われる部屋「松の間」での「信任状捧呈式」と呼ばれる儀式に臨むために皇居に向かっているのだ。

 信任状捧呈式は、憲法第七条に列挙されている天皇の「国事行為」のうち、「外国の大使及び公使を接受すること」に該当する重要な儀式とされている。

[1年に30カ国以上の大使らと]
 しばらくしてモーニング姿の天皇がお出ましになり、式が始まる。天皇のそばには外相が立ち、ほかに宮内庁長官と通訳、それに天皇に続いて松の間に入った侍従長、 侍従の姿が見えるが、いずれもモーニング姿だ。

[天皇の住まい]
 住所は[皇居 御所]
 天皇・皇后両陛下は皇居内にある住所「御所」に住まわれており、宮内庁のホームページによると、両陛下の住所は「東京都千代田区千代田 皇居 御所」となっている。ここはかつての徳川将軍の居城(江戸城)で、鳥羽伏見の戦いの敗北により幕府が明け渡し、明治天皇が明治元年(1868)年に京都から移った。

 115万4368平方メートル(東京ドーム25個分に相当)ある皇居の中で、お住まいの「御所」は、西に位置する、木々に囲まれた「吹上御苑」と呼ばれる一帯にある。皇居の外から見た地理関係でいうと、地下鉄半蔵門線の半蔵門駅から東に約600メートルの位置に建つ。「御所」の呼び名は、天皇の御座所(居室)から転じて、皇太子も含む方々の住居を意味するようにうなったという。

 一方、仕事(公務)や行事、儀式の多くは、同じ皇居内の「旧西の丸地区」と呼ばれる場所にある「宮殿」で行われる。

[天皇の国事行為]
1.国会の指名に基づいて、内閣総理大臣(首相)を任命すること(憲法第六条)
2.内閣の指名に基づいて、最高裁判所の長たる裁判官(最高裁長官)を任命すること(同)
3.憲法改正、法律、政令および条約を公布すること(第七条)
4.国会を召集すること(同)
5.衆議院を解散すること(同)
6.国会議員の総選挙の施行を公示すること(同)
7.国務大臣および法律の定めるその他の官吏(国家公務員)の任免ならびに全権委任状および公使の信任状を認証すること(同)
8.大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除および復権を認証すること(同)
9.栄典を授与すること(同)
10.批准書および法律の定めるその他の外交文書を認証すること(同)
11.外国の大使および公使を接受すること(同)
12.儀式を行うこと(同)
13.国事行為を委任すること(第四条)

[皇室外交]
1.外国を訪問すること
2.国賓を含む、来日した外国賓客に会い、もてなすこと
3.駐日外国大使らへのさまざまな接待
4.諸外国への災害見舞いや各国の建国記念日の祝意など、各国の元首らと電報(親電)や手紙(新書)のやり取りをする
5.海外への赴任予定の大使や、任期を終え帰国した日本の大使らに会う(ねぎらう)

このうち、1の外国訪問と、2外国賓客のうち特に国賓のもてなし(国賓には宮中晩餐会が催される)

[地方訪問]
 三大行幸啓
 天皇に関するテレビや新聞などの報道で比較的多いのが、「天皇・皇后両陛下が○○県を訪問された」とか「○○の式典が○○県で行われ、天皇・皇后両陛下が出席された」といった地方訪問のニュースだろう。

 現在の天皇陛下は年に四回程度、泊りがけで東京以外の地方、つまりいずれかの道府県を訪問されている(御用邸での静養を除く)。これらの地方訪問には皇后さまも同行されており、宮内庁では天皇・皇后の地方訪問のことを「地方行幸啓」と言っている。これは天皇が外出することを「行幸」、皇后・皇太后・皇太子・皇太子妃が外出することを「行啓」ということから、天皇・皇后の外出は「行幸」「行啓」の両方をあわせたもの、つまり「行幸啓」というのである。

 地方訪問は年に四回程度ある。そのうち三つは毎年行われている以下の定例の行事である。
・「全国植樹祭」(四~六月ごろ)
・「国民体育大会(国体)」(九~十月ごろ)
・「全国豊かな海づくり大会(九~11月ごろ)

□今日の読書 ★★★☆☆

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