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2008年11月

2008年11月29日 (土)

「ビジネス数字力を鍛える (グロービスの実感するMBA)」

[数字力を高める7ステップ]
①分析の目的を押さえる。
  何のための検討、分析なのか、その目的を明確にする。
②仮説をもってどんな情報が必要かを洗い出す
  目的に即して、「こうなるのではないか?」という仮説を持ち、その仮説を検証するためには、どのようなデータや情報が必要になるかを考える。
③適切な情報を収集する。
  第2ステップで考えたことにしたがってデータ、情報を集める。
④分析の際にどんな前提を置くべきかを確認する。
  第3ステップで集めたデータなどをどのような前提で分析するかを確認する。
⑤集めた情報を加工、計算をする
  データを加工する方法を検討し、加工計算などを行う。
⑥目的につながる解釈をする。
  加工、計算した結果から、目的に対して意味のある、意思決定につながる解釈をする。
⑦加工結果や解釈をわかりやすく表現する。
  解釈した内容をわかりやすく、意思決定者に伝える。

[曖昧さを極力つぶしておく]
 目的などの「そもそも論」は、時間が経過すると、関係者に再確認しにくくなっていまうため、なんとなく作業だけが進んでいってしまうということは起こりがちです。
 最初のボタンを掛け違えては元も子もありません。「わかっているはず」「前提は共有されているはず」という勝手な思い込みはすべて捨て、できるだけ具体的な言葉を使って、目的の定義からしっかり始めることが重要です。
 「指示をだしている上司は、最終的に何をしなければならないのか(例えば役員会での報告など)

[仮説は、さっさと、ざっくり」作る
 一般的に、ビジネスパーソンが何らかの課題に直面する場合、
・今までやってきている仕事に対する課題解決
・まったく新しいことに対するチャレンジ
 の大きく二つのパターンがあります。それぞれについて仮説の作り方を検討しましょう。

[今までやってきている仕事に対する課題解決]
 こうしたケースでは、その業務に対する様々な情報やほかに関与している人の話から、「この問題は○○かもしれないな」という仮説の卵を生み出します。この卵を初期仮説と呼びます。
 卵を生み出したら、まずその卵について、自分の周囲のメンバーはどう考えるか、話を聞いてみることをお勧めします。自分自身が持っているイメージがどの程度他の人の共感を得られるのか、得られないのかを確認するのです。
 この段階で良い感覚が得られたら、話を聞いてみるメンバーの範囲を広げるといいでしょう。できれば、社外の人などに聞いてみるのもよいかもしれません。

[新しいことに対するチャレンジ」
 まったく新しいことにチャレンジする場合、なかなか仮説の卵を持ちにくいものです。そんなときには、以下に挙げた方法を試してみてください。
①手元にあるデータを簡単にざっくり切ってみる
②関連する新聞記事などを時系列で見る
③似たような業界の状況を時系列で見る
④似たような業界のプロの話を聞く
 いずれの方法を使う場合も忘れてはいけないのは、「Quick and Dirty」(さっさと、ざっくり)というコンセプトです。初期の仮説を考える段階で詳細にデータを掘り始めるときりがない、時間が足りないという状態に陥ります。詳細な検討はある程度、仮設が育った段階で行えばよいので、この段階では、「さっさと、ざっくり」と、データや情報に対処することが大切です。

[仮説を育てるとは?]
 初期仮説 ⇒ ざっくり確認
        より具体的な仮説  ⇒ だいたいの裏付け
                    さらに具体的な仮説
                   (行動にむすびつく)  ⇒ 綿密な検証
[粗い段階          と     詰めの段階]
○普段から触れている情報でも可能    ○目的に沿って特別に情報を集めて判断
○ここの意見や事実そのものを重視    ○母集団全体の傾向等、統計的処理を重視

[仮説を持ちながら大枠で考える]
 さて、「仮設を持ちながら大枠で考える」イメージを、ある事業からの撤退のケースで具体的に見てみましょう。
「ここ数年間の当社の売上と、営業努力を見ても、この事業は今後とも厳しい可能性が高い」という初期仮説を持ったとします。
 では、考えを深めていくにあたってどんなデータを集める必要がありそうでしょうか? 今までやっていた事業をやめるかどうかを考えるわけですから、当然のことながら、たくさんのデータを集めて精緻に検討したいと考えがちになることは容易に想像できます。
 こんなとき、ぜひ、仮設を持ちながら大枠を考えるというステップを思い出していただきないのです。例えば、こんな感じです。

「そもそも事業はお客様があってこそ成立するものなのだから、改めて市場のことを考えてみよう。現状とこれからを予測できればいいかな? 今後の少子高齢化を考えると、将来はあまり明るい見通しではなさそうだな。外資系企業が入ってくる可能性もあるし。
 次に、自社の成長を妨げている競合がどんな状況なのかを見ないと、結果は出なさそうだ・・・。
 そして最後に、事業撤退を検討している事業がどんな状況なのか? 自社の強みはもう活かせないのか? 自社の弱みは今後事業継続をするには致命傷なのか? つまり自社おの状況をしっかり見つめなおす必要がありそうだ・・・。」

 このように考えることができたなら、大枠として市場(現状に関するデータ、将来予測をするためのデータ)、競合(誰が競合か、強み、弱み)、自社(強み、弱み)を中心にデータを集めてみようというあたりがつくわけです。

 図1-4のような図を「ピラミッド構造」と呼びます。最後の結論をサポートするメッセージ(例えば報告書で言えば各章の結論のようなもの)を、ピラミッドのような形で表現したもので、コンサルティング会社や外資系企業において、説得力のある論理を展開するための標準的な構造として活用されています。

 本書で言う大枠は、ピラミッド構造を支えるいわば柱のようなもので、この柱がしっかりしていれば、最後の結論を安定的に
支えることができます。つまり説明のロジックとして安定し、説得力が増すのです。

●図1-4 ピラミッド構造

       +----------------------------+ 
          |   結論としては、当社は              |
       |この事業から撤退すべきです      |
       +---------------+------------+ 
                                    | 
       +------------------+------------------------------+ 
        |自社の                  |競合の                 市場の  |
    |状況は?                |状況は?                 状況は? |
         |                          |                                        |
                                                  
+--------+-----------+   +-+------------------+   +------+-------------+
|自社は○○、              |     | 競合は○○、             |   |  市場は○○           |
|  ××の状況です        |   | ××の状況です       |   |  ××の状況です      | 
+-------------+------+  +---------+----------+    +------+-------------+
               |                     |                      |
     +-------+-+----+      +-------+------+       +-------+------+
     |       |      |        |       |      |       |       |      |
   +-+--+  +-+--+ +-+--+  +-+--+  +-+--+ +-+--+  +-+--+  +-+--+ +-+--+
   |情  |  |情  | |情  |  |情  |  |情  | |情  |  |情  |  |情  | |情  |
   |報1 |  |報2| |報3|   |報4|  |報5| |報6|  |報7|  |報8| |報9|
   +-+--+  +-+--+ +-+--+  +-+--+  +-+--+ +-+--+  +-+--+  +-+--+ +-+--+
 
 枠は大切な考え方なので、もう一つ別の例を挙げてみましょう。皆さんはイチロー選手がすぐれた野手であることを説明するには、どんな枠で考えるとよいと思いますか?
 例えば、「走」「攻」「守」などの枠組みが考えられそうです。「第1章 走」、「第2章 攻」、「第3章 守」という章立てでレポートを書くイメージです。もうひとひねり、イチローが優れたアスリートであることを説明したいなら、「心」「技」「体」もありそうです。わかりやすいと思いませんか?

●図1-5 マーケティング・プロセス
①マーケティング環境分析と、市場機会の発見
②セグメンテーション(市場細分化)
③ターゲティング(標的市場の選定)
④ポジショニング
⑤マーケティング・ミックス(4P)
  Product, Price, Place, Promotion
⑥マーケティング施策の実行と評価

 ビジネスフレームワークはこのように、仮設を考えるときに用いることで、仮設そのものを構造化する(大きな抜けや漏れがないように考える)ことが可能になります。結果tぽして仮説を考える効率が上がり、特定の細かいところだけを深堀することを避けることができます。
 以下に、びじねすでよくつかわれる事業分析、業界分析のフレームワークを二つご紹介しておきましょう。

●3C
 ある企業や事業部などがどのような経営環境に置かれているのか、どのような事業戦略をとろうとしているのかを分析するのに役立つ基本フレームワーク。3Cとは、自社(Company)、競合(Competitor)、市場・顧客(Customer)の頭文字を取ったもので、事業の全体像をおおかまに見ようとする際には、必ずこの三つの視点から見ることを提唱するものです。
 この三つを押さえないと、例えば、自社と競合に注意が向きすぎて、顧客という一番大事なものの変化を見落とす、あるいは市場と自社のみをみて、競合のことを考えていなかったということになりかねません。

●まずは視覚化する
 重要なのは、データを見たら、いきなり平均値を算出するのではなく、「まずはグラフなどにして、全体の傾向を目で見る」ことです。そのうえで、どんな種類の代表値にそのデータの特性を語らせるかを考えます。

 分析を進める際にまず重要なことは、その分析は何のためにやるのかという「目的を押さえる」ことでした。その目的を考えながら、「ああかな」「こうかな」という仮説の卵を産み、その卵を育てていくのが次のステップでした。
 そして、その仮説を検証すべく、情報やデータを収集します。
 一連のプロセスの中で、私が最も重要であると考える「目的に沿った解釈する」という加工、計算の次のステップに入ります

●図3-1 数字力を高める7ステップ
①分析の目的を押さえる
②仮説を持ってどんな情報が必要かを洗い出す
③適切な情報を収集する
④分析の際にどんな前提を置くべきかを確認する
⑤集めた情報を加工、計算する
⑥目的につながる解釈をする
⑦加工結果や解釈をわかりやすく表現する

・ボディの情報に対して「So what?」(だから何?)を問いかけ、しっかりとメッセージを紡ぎ出す。
・ボディのどの部分からメッセージを紡ぎ出しているのかわかるように、図中の該当箇所を目立たせる。
・一つのグラフから言えることがメッセージであるならば、不要なグラフは取り去る。
・ボディの情報量を適切にコントロールし、見た目にうるさくならないようにする。

□今日の読書  ★★★★☆

ビジネス数字力を鍛える (グロービスの実感するMBA) Book ビジネス数字力を鍛える (グロービスの実感するMBA)

著者:グロービス,田久保 善彦
販売元:ダイヤモンド社
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2008年11月27日 (木)

悪魔のPC事典―パソコンの真の姿をマニアックに解明! (I・O BOOKS)

[WEPキー]
 WEPは「Wired Equivalent Privacy」の略で、日本語に訳すと「有線と同等のプライバシー」という意味になります。
 WEPキーには「40ビット」と「140ビット」の2種類がありますが、40ビットの場合は「五文字」、104ビットの場合は「13文字」のWEPキーとなる文字列を指定することで、「RC-4」という暗号化方式によって通信を暗号化するようになります。
 これらのWEPキーに「IV」(Initialization Vector)と呼ばれる乱数初期化用の24ビットの数値が付加され、「64ビット」と「128ビット」と呼ばれています。

 64ビットの鍵を採用している無線LANでは、アタッカーは1分以内で侵入できるといわれています。また、128ビットであっても、辞書攻撃を使ってクラックすることができるといわれています。

[MACアドレス]
 ほとんどのアクセス・ポイントには、端末のMACアドレスを登録することで、登録されていないMACアドレスの端末から通信については無視するという機能が備わっています。
 MACアドレスは、イーサネット機器について固有の番号であるため、きちんと登録しておけば外部からアクセスされてしまうことを未然に妨げそうです(ただし、MACアドレスを偽ることは技術的に可能です)。
 また、あくまでもアクセス・ポイントへの接続を拒否できるだけですから、端末同士が通信し合う「アドホック・モード」と呼ばれる通信モードでは利用できませんし、電波そのものを傍聴されることを回避できるわけでもありません。

[PCにとってはメモリが要]
 はっきり言わせてもらいますと、CPUの高クロック化やハードディスクの高速化、大容量化によってPCの動作に最も顕著に変化が現れるのは、「動画のエンコ」ぐらいのものです。
 OSというものは賢いもので、メイン・メモリに入りきらないプログラムやデータは、アプリケーションの実行を一時停止してハードディスクに追い出し、あたかもメモリが増えたかのように見せる機能を持っています(これを「仮想記憶」といいます)。
 
 しかし、ハードディスクというものは、メイン・メモリと比べるとウサギとカメほどに読み書きのスピードが違うため、たびたびハードディスクへのアクセスが発生すると、システム全体の速度低下を招くことになってしまいます。
 ということで、PCの体感速度を上げようと思ったら「何をさておきメモリの増設」となるのです。

[文字遣いに大切なこと]
○ISO646
 「ASCII」が世界標準にならんとする勢いで広がっていきましたので、後追いの形で規格化された文字セットです。 
 よって、「ASCII」とほとんど同じです。
「ASCII」と違うのは、「一部の文字を国や言語に応じて入れ替えてもよい」と規定したことです。
 たぶんこの決定にからんでいた人は後悔していると思います(理由はこの先を読み進んでいけば分かると思います)。

○JIS X0201
 「ISO 646]の制定を受けて「JIS」(日本工業規格)がほとんどそのまんま、後半にカタカナとカギ括弧などの記号が制定されました。
"ほとんどそのまんま"というのがクセモノで、文字コード「5C」はASCIIでは「\」(バックスラッシュ)ですが、JISでは「¥」となっていたり、「7E」はASCIIが「~」(チルダ),JISが「 ̄」(オーバースコア)となっていたりしています。
 これはISO646的には違反ではないのですが、MS-DOSやWindowsでの"ディレクトリ区切り"やC言語などのエスケープ文字が「¥」で表示されたり、URLに良く使われるチルダが打ち込めないとか、何かと苦労させられることになったわけです。

○西ヨーロッパ各国ではアクセント記号のついたアルファベットを使うため「ISO646]の
"アノ12文字"にアクセント付文字を当てはめました。
しかし、当時最も流行っていたUNIXとC言語では、まるで狙っているんじゃないかと思うぐらい"アノ12文字"を遣いまくります。
 そのため、C++言語では「トライグラフ・シーケンス」なんていう苦肉の策もうまれました。しかし、このトライグラフ・シーケンスってヤツはなんてたって入力が面倒くさいし、そこまでして7ビットにこだわらなくてはならない技術的な制約があるわけでもないし、ということで各国が「ISO646」を基に思い思いに8ビット拡張した別のコードを作り始めました。

○JIS X0208
 さて、欧州各国は8ビットで落ち着きましたが、日本はまだまだ落ち着くわけにはいきませんでした。
 「漢字」があるからです。
 10万種類以上あるといわれる「漢字」を自由に扱えないかぎり、「安藤」さんと「安東」さんは安心して暮らせないわけです。
 といっても、いきなりすべての漢字を扱おうとしても無理な話ですから、とりあえずよく遣いそうな漢字と記号、それにひらかな、カタカナ、アルファベット、数字などを含め全部で6千字余りの文字が選ばれた「JIS X0208」(通称:JIS漢字コード)が策定されました。

[日本初の日本語処理システムである富士通の「JEF」が発表されたときの新聞記事の見出しが、"「安藤」と「安東」も区別できます" でした。

□今日の読書 ★★★★☆

悪魔のPC事典―パソコンの真の姿をマニアックに解明! (I・O BOOKS) Book 悪魔のPC事典―パソコンの真の姿をマニアックに解明! (I・O BOOKS)

著者:山本 将
販売元:工学社
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2008年11月25日 (火)

「中東激変―石油とマネーが創る新世界地図」脇 祐三

[中東と石油市場の構造変化]
 アメリカのブッシュ政権は2001年の発足直後から、エネルギー産業に関する規制緩和、国内資源の開発促進を優先的に掲げていた。政権の主張を反映した包括エネルギー法が2005年8月に成立し、国内の原油・天然ガス開発への税制優遇、バイオエタノールの利用促進、1979年のスリーマイル島原発事故の後から止まっていた原発の新規着工などに道を開いた。何年も議会でたなざらしにされてきた法案が可決されたのは、原油相場の上昇という追い風が吹いたからだ。
 
 ブッシュ政権はアメリカ国内のエネルギー資源開発を容易にすることに執着してきた。2001年9月の米同時テロは、当面の安全保障策として石油の輸入依存度を下げようとする政策のはずみにもなった。2003年のイラク戦争開戦前に、いわゆるネオコン勢力の中には「イラクのOPEC脱退と大増産によって世界的な供給過剰を広げ、原油価格下落によって中東産油国の政治的な影響力を弱める」狙いを広言する人もいたが、政権のエネルギー政策としては、ある程度の原油価格上昇による国内石油産業へのインセンティブのほうが重要だったと考えられる。

 中長期的な石油の地政学では、石油の確認埋蔵量の60%以上を占める中東が極めて重要だ。ブッシュ政権がイラクのフセイン政権を倒し、イランへの圧力を強めてきた背景には、中東から反米的な政権を排除したいという考えも当然あっただろう。

 中東産油国が直面する経済問題の多くのその震源はアメリカにある。しかも震源となっている金融の問題の広がりは大きすぎて、これにすぐ対処できるほどの経済力は今のアメリカにはない。むしろ、アメリカの金融機関を救済するために産油国資金を当てにする状態だ。イラク戦争でつまずいたアメリカは、中東での政治的な影響力も急速に落下した。ドル建ての原油という商品に大きく依存し、アメリカのパワーに依存してきたサウジなどにとって、大きな転機が訪れている。

---------------------------------------------
確認埋蔵量         (単位:十億バレル)
---------------------------------------------
中東合計                755.3
  サウジアラビア  264.2
  イラン   138.4
  イラク   115.0
  クウェート  101.5
  アラブ首長国連邦  97.8
---------------------------------------------
旧ソ連合計    128.1
  ロシア    79.4
  カザフスタン   39.8
  アゼルバイジャン   7.0
---------------------------------------------
アフリカ合計    117.5
  リビア    41.5
  ナイジェリア   36.2
  アルジェリア   12.3
  アンゴラ    9.0
  スーダン   6.6
---------------------------------------------
中南米合計    111.2
  ベネズエラ   87.0
---------------------------------------------
北米合計     69.3
  アメリカ   29.4
---------------------------------------------
アジア・太平洋合計    40.8
  中国    15.5
---------------------------------------------
ヨーロッパ合計     15.6

世界合計    1237.9
----------------------------------------------------

[新たなブームに沸く中東]
 世界の多くの人々にとって、近年の湾岸諸国の好況のシンボルになっているのは、UAEを構成する首長国の一つ、ドバイの急速な発展だろう。ドバイ産の原油は日本やアジアの石油市場で原油価格の指標になっているが、産油量自体は少ない。隣接するアブダビ首長国と違って、ドバイ首長国はもともと石油資源だけには頼れない国であり、早くから石油以外の産業の誘致と育成で独自の成長を目指してきた。

 1980年代以降の発展を主導してきたのは、ラーシド元首長の三男で2006年1月に即位した現在のムハンマド首長(UAE副大統領兼首相)である。
 ムハマンド首長(1949年生まれ)の口癖は、「未来は待つものでなく、自らつくるもの」。イスラム教徒が未来について語るときには、「インシャー・アッラー(もし神が望めば)」という一言を付け加えるのが普通である。だが、ムハマド首長は兄であった前首長の下で皇太子だった時代から、神の思し召しに任せるのではなく、国家運営に企業形成のセンスを加味し、「国際的な物流基地」「サービス業の拠点」「観光や航空のハブ」としての成長を戦略的に推進した。

 ドバイは空港を拡張し、自前の航空会社であるエミレーツ航空の育成に成功した。1990年に年間役500万人だったドバイ国際空港を利用する旅客数は、2005年には焼く2480万人と、15年間でおよそ5倍に増えた。航空貨物取扱い量は同じ15年間に九倍以上に増え、ドバイは湾岸地域の商都にとどまらない中東・アフリカ・南アジア地域で最大規模の運輸・物流のハブとなった。

 中東でもっとも便利でレクリエーション施設や娯楽の機会も多いドバイに、多くの外国人が吸い寄せられる。世界の有力企業の多くは、自社のビジネスと関連が深いドバイの特区に中東地域の統括拠点を置くようになった。ドバイに進出した日本企業の数も200社を超える。ドバイの人口は毎年、10%以上も増えているという。1980年代に40万人規模だったドバイの人口は、今や150万人を超える。150カ国以上の人がここで暮らし、アラブの国なのにアラブの人が少数派で、共通語は英語。ドバイは中東では稀有なコスモポリタンの街に変貌した。

 ウォータフロント開発の継続とともに、ドバイの開発の次の目玉となるのは、滑走路六本を24時間フル稼働させる計画の新空港だ。新空港と周辺に新設する物流関連施設を合わせたプロジェクトは「ワールド・セントラル」と名づけられている。「世界の中心」という呼び名のとおり、世界最大の航空貨物のハブにする計画だ。

[インフラが足りない]
 人口急増と産業多角化への対応で、まず必要なのは水と電力の確保だ。水と電力がなければ生活はできないし、製造業だけでなく商業やサービス産業でも水と電力の供給は先決事項である。水不足は世界的問題だが、中東は世界の中でも特に水資源が乏しい地域である。しかも人口が増え続けているから、年間に得られる一人当たりの水資源は減る一方だし、都市型の生活スタイルの浸透に伴って一人当たり水消費量は逆に増える傾向にある。
 海水を淡水化してつくる水は純粋すぎて化学物質に近く、そのままでは生活用水としては使えない。たとえばサウジの首都リヤドでは、ペルシャ湾岸にある淡水化プラントからパイプラインで運んでくる水と、内陸の深い井戸から汲み出す地下水をブレンドして、上水道で供給している。都市の生活用水としても不可欠である。
 サウジの紅海岸の大都市ジェッダでは、まともに上水道を使えるのは週に二日か三日という地区もある。

 サウジ、クウェート、UAEなどの一人当たりCO2排出量は先進国を大きく上回り、カタールの一人当たり排出量はアメリカの三倍近くに達している。資源の制約や地球温暖化への危機感が高まっている時代に、産油国はいつまでも、"悪役"になっているわけにはいかなくなった。
 降雨が少ない代わりに、中東にはあふれるばかりの太陽の光がある。太陽光をエネルギー源にすれば、石油・ガス輸出国の地位を長期的に確保することにもつながるわけだ。
 海面近くが温かく、深層が冷たい海水の温度差を利用する海洋温度差発電という技術がある。クウェートやカタールなどでは、この技術を応用して製油所からの廃熱を発電や増水に用いる事業について、日本のセネシスというベンチャー企業を商談を進めている。

[広がる教育改革の波]
 公文式算数、大ヒット
 初等教育の実験も広がってきた。ドーハのアル・イスラー独立女子小学校では、2006年から週明けの日曜(カタールでは金曜、土曜が休日)の朝一番に、英語による公文式算数教育をサブカリキュラムとして組み込んだ。公文式の導入はカタール産の液化天然ガス(LNG)の輸送にあたる日本郵船が同国の教育関係者に働きかけ、指導員派遣などの関連費用を負担することで実現した。洋数字に親しみ、計算に慣れるのが、大きな目的だ。
 アル・イスラー独立女子小学校の教室を覗くと、生徒たちは「クモンの時間は楽しい」と言い、指導に当たる教師は「掛け算の九九を覚えるという発想もなかった子供達の多くが、安産で答えを出せるようになった」「集中力の養成にも役立つ」と語る。

□今日の読書 ★★★★★

中東激変―石油とマネーが創る新世界地図 Book 中東激変―石油とマネーが創る新世界地図

著者:脇 祐三
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2008年11月23日 (日)

「よい印象」の言葉力 宮本 隆治

[よいアナウンサーの条件とは]
①庶民の目線を持つ
②トラブルに慌てず対処できる
 芸能、報道などのジャンルを問わず、アナウンサーにとって必須の能力・資質は、[臨機応変力]でしょう。
③いつも笑顔で
 結論から言います。最高の武器は、やはり笑顔だと思います。

 NHKでアナウンサーの採用試験の面接官を3年ほど担当しました。話してみると分かるのですが、明らかに、"面接攻略塾"で培った成果を発揮しようとする学生がいます。
 しかし、所詮は俄かの促成栽培。自分のものになっていません。その手の学生は、完全対策をしてきたという慢心の電源を抜くような想定外の質問をすれば、たいていすぐにボロを出します。たとえば、こんな質問です。

「今日、家を出てからここに車での間で一番印象に残った出来事は何でしたか?」
 殆どの受験生は、もっと高度な政局、経済、スポーツネタなど、時事関係のことを聞かれると思っていますから、この手の質問はまず想定していません。結果、しどろもどろになる人が多いのです。

 そうした中で一人、見事な答えをした女性がいました。私がその質問をすると、彼女はニコニコしながら、こう答えたのです。
「それはいまの質問です。まったく想定しておりませんでした。今朝、朝刊を二時間かけて隅からすみまで目を通し、それに関する質問が出たら何でも答えられる自信がありました。しかし、そんな身近なところには目がいきませんでした。自分の驕り、高ぶりが恥ずかしくなりました」
 当意即妙の見事な受け応えでした。まさしく先ほど挙げた「臨機応変力」です。私は迷わず彼女に「A」の評価をつけました。彼女は、その後の筆記試験の結果もよく合格。いまNHKのアナウンサーになっています。
 面接官をしていると、「この人はもうちょっとで『A』になれるのにな」と思う人がいます。限りなく「A」に近いのだけれど、「A」をつけるには躊躇される、紙一重の人です。

 そうした人に共通して感じるのは、自らの視点の弱さです。その点、彼女の場合は「いまの質問が一番印象に残っています」と、独自の視点でものが言えました。
 視点は個性であり、私達はそれで人物を判断するわけです。
 しかし、もし彼女に笑顔がなかったら、私はまた違う評価をしていたかもしれません。

[NHK的は面白さ、民放的な面白さ]
 NHKと民放では、番組に求めているものが違います。NHKが完成度(=安定)を求めるのに対して、民法は偶発性(ハプニング=非安定)を求める傾向が強いようです。
 たとえば、収録番組で司会が噛んだり、トチッたり(間違えたり)したとします。NHKの場合、その部分は番組として欠陥製品なのでカットし、もう一回取り直しをします。完成度(=安定)を求めるわけです。

 しかし、民法では、「それが面白い」と評価され、そのまま使われる。偶発性(=非安定)を求めているからです。当初は、「こんな欠陥商品でいいのかな・・・?」と悩みました。でも、民放ではそれが面白がられる。言ってみれば番組の"糊しろ"を面白がるのが民法で、NHKは絶対に糊代はお見せしない。これが両者の決定的な違いでしょう。
 違いが象徴的に現れるのが、打ち合わせです。NHKが打ち合わせをしすぎるとしたら、民放はしなさすぎます。

[刑事コロンボになってください]
 あの小池さんのコロンボの声は、実にすばらしい。肩の力を抜いて、リラックスした状態でお腹のそこから声を出す発声法は、しゃべりのプロの私達アナウンサーもお手本にしたいほどです。ですから、ぜひ皆さんも参考にしてほしいのです。
 そして、ソファに腰掛け、足でも組んで、3メートル離れたお母さんに向かって呼びかけてみてください。「お母さん、新聞とって!」と。
 そのときの声が、発声の仕方や声量、声の高さも含めて、あなたの最良の発声、「ベスト・ボイス」なのです。

□今日の読書 ★★★☆☆

「よい印象」の言葉力 Book 「よい印象」の言葉力

著者:宮本 隆治
販売元:祥伝社
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2008年11月21日 (金)

「垣間見」る源氏物語 紫式部の手法を解析する」 吉海直人

[空蝉・軒端の萩の「垣間見」]
 垣間見の基本的な概念として、従来は垣間見る側の存在を見られる側は知りえないとしているようである。ここで取り上げる空蝉巻の垣間見についても、垣間見ている源氏の存在に、空蝉も軒端の荻も全く気づいていないという前提で読んで来たのではないだろうか。ところが源氏の存在を暗示するものとして、空蝉の弟小君がその場にいることについては、これまであまり注意が払われていなかった。ここで小君に注目すると従来の読みがどのように変容するのか、この点について少しばかり私見を述べてみたい。
Photo_2

 第一に案内役の小君(空蝉の弟)が、
東の妻戸に立てたてまつりて、我は南の隅の間より、格子叩きののしりて入りぬ。のごとく大きな音を立てていることに注目しておきたい。
これに関して新編全集の脚注21では、「叩きののし」ったのは、人々の注意を自分のほうに引き付けて、褄戸にいる源氏の姿にきづかせないようにする策略と注記してある。そのために小君はややオーバーアクションをしているわけである。それは単に格子を「叩きののし」ったというだけでなく、「あらはなり」と言って対応に出た御達(老女房)に対してもわざわざ、

 御達、「あらはなり」と言ふなり。「なぞ、かう暑きにこの格子は下ろされたる」と問へば、「昼より西の御方の渡らせたまひて、碁打たせたまふ」と言ふ。さて向かひゐたらむを見ばやと思ひて、やをら歩み出でて、簾のはさまに入りたまひぬ。

 と逆に問いただしている点にも注目したい。その会話の声は妻戸にいる源氏の耳にも届いていた。この会話によって内実が源氏に説明されたことになる。というよりも小君は、源氏に聞こえるように意識して行動しているのであろう。同じく新編全集の脚注27に、「「さて」は、女房のいう、二人が碁を打っている状態で」とあるのも参考になる。だからこそ源氏は、碁を打っている空蝉と軒端の荻を垣間見たいという衝動にかられ、すぐさま行動に出ているのである。幸い「紛るべき几帳なども、暑ければにや、うちかけて、いとよく見入られる」と暑さのお陰で丸見えだった。

□今日の読書 ★★★★☆

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2008年11月19日 (水)

「中国大崩壊―世界恐慌のシナリオ」柘植 久慶

[日本人観光客の危険]
 
 中国の商店街でブランド物を見つけたら、ホテルのショッピングモールでない限り、それこそ120パーセント偽物、と考えて間違いない。その多くは広東省で製造されている。
 それではと食品に目を転じると、天洋食品製品のほうがまだ安全と思われる品ばかりだ。どういった場所で生産されているのか、先が見えないので、気味が悪い。
 酒ならと考えても、中国全土に氾濫する偽酒の情報を知ると、銘柄はしっかりしていても、中味がどうなのか信用できない。これまた買う場所を考えないと、みやげ物に使うことがはばかられてしまう。

 玩具は鉛が塗料に使われていることが多いから、全く問題にならない。安かろう悪かろうで直ぐに壊れる。あたかも1950年前後の日本の輸出品を思わせる。
 衣料品もまた有害物質で染められているため、着ていると体内に吸収される危険性が大きい。とりわけ幼児とか年少の子供には、たちどころに影響が及ぶ。
 少し高尚なところで端渓の硯を選ぼうとすると、広東省の原産地でもはや資源が枯渇しており、本物など殆ど出回っていない。高級な墨もまた、下手なところで購入したらすべて偽物である。

 それではと漢方薬の店に行くと、有名な冬虫夏草など驚くほど高価だ。掘り出し物を見つけようなどと考えると、たいてい偽物を掴んでしまう。外見だけ知っていても、かえってそれが欺かれる原因となる。
 もし気に入った品があっても、金額をよく確かめてから紙幣を渡す。という注意が必要になってくる。なかには多額の釣銭となると、返してこない不正直な店員がいる。外国人で言葉が通じないと、ごまかす連中が結構出てくる。これもまた中国人の特徴と考えておきたい。

[毒入り餃子など氷山の一角]
 米作は華中と華南に絞られているが、全体計画のないまま工業化が進められたことにより、中国の農業はすでに末期的症状が随所に見受けられた。

 それでは副食の分野ではどうだろうか。これもまた主食の分野と同様に、現状でも極めて惨めな状態を招いている。河川の流れ込んでいる海岸と沖合いの漁業は汚染に軒並みやられて食べられる魚など全くない。

 そのため上海あたりの富裕層は、近海魚に見向きもせず、ひたすら日本からの輸入品や遠洋漁業の魚を買ってゆく。築地の魚市場で日本の業者が、鮪の大物を競り負ける、という事態まで招いているのだ。

 20世紀中盤まであれほど盛んだった河川の漁業も、現在では全くの壊滅状態である。未処理の工業排水が大量に流れ込み、魚がすべて死滅してしまったという。
 そうした工場で製造されるのは、商品とは名ばかりの「ガラクタ(ジャンク)」で、マーケットはアフリカの開発途上国しかない。そこでも資源の無駄遣いという、地球の耐用年数を減少させる企てが、中国人によって進められている。

 より重要なのが大地や河川の汚染だろう。そうした汚れた大地に育った豚が、汚れた河川や地下水の水を飲み、やがて食肉市場に出荷されてゆくから凄まじい。
 中国人の民族性からすると、病気で死んだ豚とかSARSで死んだ鶏などは、絶対に知らん顔で出荷してしまう。もし保健所に届けても一文にならないためである。

 これがSARSの被害を統計上、少なくしていると考える人もいる。

[アフリカを呑みつくす中国]
 中国政府は資源を有する国家を片っ端から調べ上げ、欧米の進出していない先への外交攻勢を強めた。そうした国家はたいて非民主的どころか、インチキ選挙をやってきた独裁的なところばかりで、欧米が進出に二の足を踏んでいた先だ。しかしながら中国は委細構わず、外交関係を高いレヴェルに格上げして、大規模な進出をやってのけた。
 資源と密接に結び付いた中国のアフリカ諸国への進出先は次のようなところがある。

 コンゴ民主共和国・・・・・銅、コバルト
 ジンバヴエ・・・・・・・・石油、他の鉱物資源
 アンゴラ・・・・・・・・・石油
 スーダン・・・・・・・・・石油、他の鉱物資源
 ナイジェリア・・・・・・・石油、セメント
 サントメ・プリンシペ・・・石油
 ガボン・・・・・・・・・・石油、鉄鉱石、材木
 ザンビア・・・・・・・・・銅

 これら8カ国の政権は揃いも揃ってロクなところがない。ジンバヴエなどは大統領選挙が終わって四週間以上も結果が発表できない--すなわち事実上大統領が敗北した、というとんでもない国家である。前回の大統領選挙も不正が囁かれており、ロバートムガベはアフリカ最悪の権力者の一人だ。

 欧米諸国は独立時の白人農民に対する約束が守れないどころか、農場から追い出しを企てたことにより、農業が壊滅してしまたのだから、欧米諸国は呆れて距離を置いた。そこへ中国が喰いこんだのであった。
 
 中国は何かを突破口として進出を果たすと、直ぐに資源を自国に向け送り出す。そのままだと外貨--ハード・カレンシで以って対価を支払わねばならない。そこで中国の採った方法は、電気製品、自動車、機械、繊維製品、兵器、雑貨などを輸出し、支払いが生じないというものである。

 このためジンバヴエではとんでもないことが起こり始めた。安価な中国製の繊維製品が安売りの店で氾濫し、地場産業を壊滅させたのであった。現地で生産される衣料品はたちどころに駆逐され、これはナイジェリアと全く同じパターンで、集中豪雨のような輸入品の洪水に、そこでも失業者続出という破目に陥ったのだ。

□今日の読書 ★★★★★

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2008年11月17日 (月)

「見えない恋―メールだけで恋愛しました」ミサ

件名:こんにちは

 初めてメールします。大阪在住28歳調理師をしています。175センチ71キロ野球をやっていました。見た目はそんなに悪く言われたことがないかもしれません。スポーツが大好きです。遠出のドライブにもよく行きます。仲良くなってどこか遊びにいけたらいいですね。返事待ってます。

件名:はじめまして
 アメリカのロサンゼルスに住んでいますが、実家は東京です。僕は開発研究の仕事をしてます。毎日仕事に追われています。
 趣味はビリヤードで、アメリカ人を相手にトーナメントでプレーしています。
 僕は典型的なO型です。のんびりした性格です。
よろしければ返事をください。お願いします。

--------------------------------------------------------------------

 このメールがダメな理由。まず、第一に、自分のことしか書いてない。私のプロフには一切触れてない。誰彼かまわず送ったってのが、すぐ分かる。自分に興味を持ってくれる子をひっかけようとするのはいいけど、自分から気の合う女の子を探そうって意欲が全く見えない。誰でもいいのかな。

 第二に、その内容に惹かれない。それに文体も形式的。突っ込みどころも全くないし、これにどんな返事を期待してるんだろ・・・・後者なんか文体そのままでも、ちょっと書き換えるだけで最後の「お願いします」が説得力を持つのに・・・・もったいない。

--------------------------------------------------------------------
薄暗い部屋に着くとすぐにパソコンの電源を入れる。

 Will you love me?

□今日の読書 ★★★★☆

見えない恋―メールだけで恋愛しました Book 見えない恋―メールだけで恋愛しました

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2008年11月15日 (土)

「やまと教 日本人の民族宗教」 /ひろさちや

[仏教とヒンドゥー教は、まったく違った宗教]
 
 誰もが知っているように、仏教はインドに発祥した宗教です。では、仏教とヒンドゥー教はどう違いますか? 二つの宗教の関係はどのようになりますか・・・・?

 その点に関しては、現代インドのヒンドゥー教の学者は間違っています。日本人がインド旅行すると、インド人ガイドはヒンドゥー教の学者の考え方を我々に聞かせます。
 その結果、間違った考え方を教え込まれることになるので、注意せねばなりません。

 ヒンドゥー教の学者の考え方は、基本的には、
---仏教はヒンドゥー教の一派である-----


 というものです。まあ、ある意味で、このような主張も可能は可能です。というのは、インドに発祥したものすべての宗教をヒンドゥー教と見なすといった考え方があるからです。

 けれども、仏教とヒンドゥー教は、その根本思想・哲学が違うのです。
 仏教の開祖の釈迦は、婆羅門教のヴァルナ(四姓)の制度に反対しました。釈迦の時代のヒンドゥー教は"婆羅門教"と呼んだほうがよいでしょう。

もちろん"婆羅門教"はヒンドゥー教の古い形態であり、根本思想に違いはありません。婆羅門教もヴァルナ・アーシュラマ・ダルマを説いている宗教です。釈迦はそれに反対したのです。

[七福神の戸籍調べ]
 江戸後期の禅僧に仙厓義梵(1750-1837)がいます。彼は独特の洒脱な墨画で有名で、白隠禅師(1685-1768)とともに近世禅画の双璧とされています。
 あるとき、檀家の新築祝いに仙厓が招かれました。主人は仙厓和尚に、お祝いの揮毫を頼みます。

「ああ、よしよし」と、仙厓は気軽に引き受け、そして、
---ぐるりっと家を取り巻く貧乏神---
 と書きました。主人は渋い顔です。あたりまえですね。新築祝いに貧乏神なんて、真っ平ごめんですよね。

 しかし仙厓和尚は、にこにこしながら下の句を続けました。
---七福神は外へ出られず---
なるほどこれなら、めでたい文句に間違いありません。

 では、われわれは、七福神の戸籍調べをしてみましょう。

 最初に夷(えびす)。この紙はまた、"恵比寿"、"恵比須"とも表記されます。国籍は日本人です。狩衣に風烏帽子をつけ、右手に釣竿、左手に鯛を持っています。本来、漁民が信仰する神様でしたが、転じて海運業守護、商売繁栄の神様になりました。

 次に大黒天、どうやらこの神の出身地はインドのようです。インドのヒンドゥー教のシヴァ神は、インド人に一番人気のある神ですが、じつは破壊の神、死の神なんです。そんな不吉な神がどうして人気があるのか不思議ですが、インド人は、
「だって新しいものが誕生できるのは、古いものが死ぬからでしょう。破壊イコール創造なんですよ」と説明します。まあ、そういわれてみるとその通りですね。

 で、このシヴァ神は異名を"マハーカーラ"といいます。「偉大なる黒き神」といった意味です。それが、"大黒"です。
 この大黒天が仏教とともに日本に入ってきました。すると日本では、"大黒"すなわち"ダイコク" が"大国"に通じます。そこで大黒天がオオクニヌシノミコト(大国主命)と習合して、その結果、あの柔和な福相を帯びた大黒様のイメージが出来上がったのです。だとすると大黒天は、インド人と日本人のハーフですね。

 その次は毘沙門天。別名は多聞天です。仏教の守護神で、財宝と福徳のほかに子宝も授けてくれるといいます。国籍は明らかにインドです。インドでは、北方世界を守る神とされています。

 そして弁才天。この女神もインド出身です。ヒンドゥー教の河川神であるサラスヴァティーが仏教に取り入れられたのです。ヒンドゥー教では音楽や弁才、知恵をつかさどる女神で、だから"弁才天"と表記されていたのですが、日本に来てからはいつのまにか、"弁財天"と表記されるようになり、財宝を授けくれる福徳神に変身したのです。

 その次は福禄寿と寿老人。福禄寿は中国民間信仰の神で、南極星の化身とされています。そして、寿老人は福禄寿の異名です。同体異名の神を二人とも七福神にしているので、区別するために、福禄寿は短身、長頭で、長いひげを描き、杖を携え、鶴を従えさせています。一方、寿老人の方は、杖を持っているのは同じですが、頭に被り物をし、うちわを持ち、鹿を従えています。

 ともあれ、この二神の国籍は中国です

 最後に布袋。この人は歴史上の実在の人物で、中国、後梁時代(十世紀前半)の禅僧でした。僧名を契此(かいし)といいますが、いつも肩に布製の袋をかけて歩いていたので、庶民から、"布袋和尚"と呼ばれ親しまれていた人物です。ですから、この神も国籍は中国です。

□今日の読書 ★★★☆☆

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2008年11月13日 (木)

「eメールの達人になる」村上 龍

[結びの文]
■「よろしくお願いします」
■「お手数をおかけします」

平凡だが、そのふたつはよく使う。かなり親しい人でも何か頼むときは、最後にその二つのいずれかを使う。
「面倒なことを頼んでしまって恐縮ですが、なんとかうまくやってください」
 というニュアンスが含まれているので、便利だ。

 冒頭からメール本文にかけて、簡潔で正確な文章を並べて「仕事上の依頼・指示」を書いた場合、結びの、「よろしくお願いします」「お手数をおかけします」が生きてくることがある。
「この人はやけに無機的で簡潔なメールを書くが、意外と儀礼的な部分も持ち合わせているのだな」
 というふうに、メールの末尾で受信者が安心できるわけだ。

■「ご検討ください」
 仕事上の提案のメールの末尾にはそう書く
「ご検討のほど、よろしくお願いいたします」

 だと、ていねいすぎて、緊迫感が失われる。

■「お返事、お待ちしています」
 という結びの文は、わたしは使わない。厚かましい感じがするからだ。相手にできるだけ負担をかけない、というメールの鉄則に反する。

できるだけ早くレスポンスが欲しいこともある。
 その場合は、
■「お手数ですが○○日までにメールをいただけると助かります」
■「できましたら○○日までに返信いただけると助かります」
という表現をよく使う。

■意外と親切なのは、返信の必要がないことを明記したものだ。
事務的な内容であれば、
■「ご連絡まで」
■「ご報告まで」
というようなあいさつ文で結ばれていると、「返信不要」に近いニュアンスになる。
■「このメールに関する限り返信は不要です」
 わたしはよくそう書く。

■「この件、OKでしたら無視してくださって結構です」
■「変更がある場合のみ、返信ください」
■「何か問題がある場合のみ、ご連絡ください」 
 不要なメールが減るわけで、効率的でもある。

[Subject:件名]
 保管しているメールを参照する必要が生じたときは、「件名」で探すが、件名がメールの内容を表していないと苦労する。しかも、ほとんどの件名は似たようなものが多くて、さらにイライラすることになる。
「お知らせ」
「お願い」
「ご連絡」
「ご案内」
 といったものが圧倒的に多い。しかも別件のメールでも、すべて同じ件名なので探すのに時間がかかる。

■「本日の打ち合わせは中止です」
 シンプルな情報の伝達と連絡はメールの基本だ。伝達と連絡では、伝えるべき用件を送信者が正確に把握していなければいけない。何を当たり前のことを、と言われそうだが、案外むずかしい。

■「早めにお返事いただけると助かります」
 このときに、なぜ返事を急いでいるのかという理由は書き添えておいたほうがいい。

 用件の緊急度にもよるが、
 「こちらの進行状況ですが、今週末がデッドエンドです。失礼ながら金曜夕方までにお返事いただけると助かります」
 というような表現なら簡潔性を維持し、かつ相手に不快感を与えずに済む。

■「~していただくと助かります」
 という表現は、相手への依頼や指示や命令ではなく、自分の都合(利益)を明かすわけで、それが正直さを演出するかも知れない。
■「~してくれるとうれしいです」
 うれしい、という言い方になるとさらに可愛くなる。まるで子犬がお腹を見せて仰向けになっている感じがする。

[英語]
 正確なニュアンスを伝えたいときは、日本語より英語の単語のほうがぴったりくるケースがある。特に短い返信などの場合、くどくどと説明するよりその一言で済ませてしまったほうが早いという便利な英単語がある。

 意外と便利なのが「no problemです」という返事だ。日本語のメールに英単語を使うわけだから、ほとんどの人がその意味を知っている言葉を使わなくてはならない。「no problem」 の意味を知らない人はまずいない。
 そのほかに、better, best, and, or などをよく使う。

□今日の読書 ★★★★★

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2008年11月11日 (火)

「パソコンは日本語をどう変えたか」

[画像に負けない文字を]

 この席には、ヒラギノのデザインを担当した本人である字游(じゆう)工房のお披露目であった。

 開発のコンセプトは2点。ひとつが「グラフィックと並べて違和感がないこと」、もうひとつが「ほかと類似しない書体であること」だった。
 デジタル全盛期であるにもかかわらず、フォントデザインの基本は今も「手書き」である。たとえば、偏や旁などのパーツを用意しておいて、コンピューター上でそれを組み合わせてデジタル的に文字を作ることはできる。しかし、それだけでは見た目がきれいにならないのが漢字の難しいところだ。たとえば同じ「サンズイ」でも「湖」と「汐」ではバランスを変えなければならない。同じ幅で収めるためには「湖」のほうのサンズイを狭くしなければならない。見た目のバランスは非常に重要だ。こういうことは機械的に処理できるものではなく、長年の経験で得た勘に頼ってバランスをとる作業が必要になる。

[大学生は中学生より漢字を知らない]
 「日本漢字能力検定協会」が2005年に実施した「漢字能力調査」では、中学・高校・大学の新一年生、新卒社会人の計8365人を対象に行われた。

 その結果、正答率は中学生から順番に78.5%、59%、39.8%、60.7%となった。普通に考えれば、高学年になるほど漢字に接する機会が増えるので、習熟度も高まりそうなものだが、結果は逆になっており、大学1年生の正答率が最も低かった。
 これは教育のせいなのか。ちょっと考えると、コンピューターや携帯電話が普及したことで、漢字を、日本語を使う能力が低下しているのでは、という疑問が生じてくる。

□今日の読書 ★★★☆☆

 

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2008年11月 9日 (日)

「こころと脳の対話」河合 隼雄,茂木 健一郎

[愛は盲目は脳科学的に正しい]
 茂木 脳科学でも、関係性という部分では、われわれは「コミュニケーション」という言葉を使うんですけれど、脳内の伝達の過程がどうなっているかということはかなり研究されてきています。
 脳科学で、人間の関係性についての最近でいちばんおもしろい研究のひとつは、相手をクリティカル(批判的)に値踏みする領域は前頭葉にあるのですが、いままさに熱烈に恋愛中だという人に観察対象になってもらって、その恋人の写真を見せるんですね。そうすると、そのクリティカルに相手を値踏みする領域の活動がオフになるんです(笑)。つまり、マキャベリ的知性(ヒトの知能は複雑な社会環境の変化に適応することで高度に進化したとする仮説)といわれている。
 「愛は盲目」というのは、まさに脳科学的に立証されるんです。

 河合 おもしろいですね。そのときにオフになるというのは、つまりオンとかオフのスイッチのようなものがあるんですか。
 茂木 それはまだ、因果関係はわからないんです。脳活動としては、fMRI(機能的磁気共鳴映像診断法)で血流の変化を見て、その領域の活動が低下しているということまではわかるんですけれど。要するに、まだシステムになってないんですね。そういう意味でいうと。
 河合 システムというと、みんなシステムを統制するセンターというのを、すぐ連想しますね。ところが、おそらく、僕はセンターはないんじゃないかと思う。
 茂木 そうだと思います。

[言語に依存しすぎの現代人]
 茂木 河合先生は、以前私と話をされたとき、「誰かと話していて、聞いているこっちがつらくなるときは、相手の症状が重いんだ」とおっしゃっていましたね。
 河合 はい。
 茂木 それは、カウンセリングをされるなかで、はっきりと感じられる実感なのでしょうか。
 河合 話しの内容には関係なく、こっちの苦しみのほうが多くなるんですんね。
 茂木 そこまで確固とした感覚があるのでしょうか。
 河合 そうですね。こられた方に「どうですか」いうたら、「いや、べつにふつうです」いうて、そんなに困ってないようなことを言っておられるんだけど、そのうち聞いてる僕がものすごく疲れてくるんです。すっごくしんどくなってくる。こういう人は、絶対、むずかしい人だと思いますね。その人の言語的表現と違うものが僕に伝わってくるわけですね。そういうものをキャッチできる人間に自分を鍛えているんじゃないかと思いますけれど。
 茂木 その話をうかがって、僕はこのあいだある作家の方とお目にかかる機会があって、三時間ぐらいしゃべったあと、もうドーッと重くなって、それで河合先生の半紙を思い出したんですね。(笑)
 河合 いや、その方も疲れたんじゃないかと僕は思いますけれどね。(笑)
 茂木 それって何なんですかね。
 河合 やっぱり僕らの知覚というのは、どうも言語に頼りすぎているんですよ。言語表現に頼りすぎているけれど、本当は僕の体験なんかでいうと、言語で表現されてるのは一部分でしょう。
 たとえば、「どうでした?」と訊いて「ああ、おもしろかったですよ」といったって、たんに「おもしろい」いうようなもんやないでしょう。ほかに、ものすごいたくさんありますね。それをいちおう「おもしろい」という言葉にしているわけです。
 その言葉にするときに、その人の体験が、その人のなかで動くじゃないですか。そういうのを僕らはキャッチしていると思う。やっぱり生きるうえでは必要なことなんですかね。
 河合 それはそう思いますよ。だからわれわれも、もっとその人をよく理解できたり、わかったりするわけでしょう。

□今日の読書 ★★★★☆

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2008年11月 7日 (金)

「シニアの読書生活」 鷲田 小彌太

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著者:鷲田 小彌太
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[一生幸せになりたかったら、読書がある]

 衣食住に心配がないという条件下で、あと一つだけ、かなうものがあるとしたら、あなたは何を望むだろうか。こう自問してほしい。

 開高健がたえず口にしていたチャイナの古い諺がある。
  一時間幸せになりたかったら酒を飲め
  三日間幸せになりたかったら結婚しろ
  一週間幸せになりたかったら豚を殺して食べろ
  一生幸せになりたかったら釣りを覚えろ
 開高の釣りキチガイは世に知られている。「オーパ!」を一読すればわかる。
 では、開高を地球の果てまでも魚をもとめて狂騒的に釣りへと誘った深い動機は何か、ご存知だろうか? 他でもない、妻(結婚)から逃れるためだったのである(そうだ)。
 開高の釣りは、現実逃避から生まれた副産物だったのだ。
 開高が生きたのは日本である。開高が、どれほどのドランカーでも、グルメでも、釣りキチでも、本がなければ生きてゆくことができなかったのである。若いとき、本物の飢餓と精神的飢餓の「地獄」からかろうじて開高を救ったのは、読書であった、と述懐している。

[寝るとき、枕元の本がなければ]
 読書好きの人は、たいてい枕元に本を置いている。私の妻もそうである。人間、毎日寝るのだから、枕元で読んだ本の数は、バカにならないだろう。
 ジュニア期からミドル期にかけて、私も横になりながら本を読んだ。冊数からいうと、一番多いのではないだろうか。枕元に、何十冊と本が並んでいると、もうそれだけで幸せ、という気持ちになれた。

 ところが、寝て読むと、姿勢に無理がでる。人間の部位で重いのは、頭と腰である。頭と腰を支えるために、腕、肩、背骨、膝等の身体の各部署に無理がゆく。各所が痺れる。だから、横になって本を読むためには、終始、姿勢を変えなければならない。しかも、目線が一定しない。照明もたえず変えなければならない。思うに、寝る姿勢は、長時間の読書には適していないのである。

[一年計画と、読書メモ]
 第一命題、計画はショートレンジ(a short-range plan 短期計画)がいい。
 計画は、一年がいい。それを四季に分け、月単位にし、週間計画、さらには、一日に、そして、一日を午前と午後、できれば、四分割して、朝、午前、午後、夜にとなればいい。
 第二命題、計画はラフ(rough租)がいい。
 これもしたい、あれもやらなければ、と最大漏らさず「計画表」に書き込んである計画は、実現性の薄い、実行力の伴わないものだ、と思ってもいい。

[浪費が利益を生む]
 読書の第一で最大のものは「暇つぶし」である。これが私の意見だ。人間は浪費を好む「贅沢」な存在なのだ。「浪費」は人間のマイナス性格ではない。根本かつプレス性格なのだ。この高速の消費社会は、ますますその性格を強めている。浪費しない人間社会は、ついに滅びるとみなしていい。
 読書のための読書、浪費としての読書、これはもっとも人間的な行為の一つである。

[定年後に読む本を選定する]
1.極めつけのエッセイ
『父の詫び状』向田邦子(文春文庫 1981)
『笑わぬでもなし』山本夏彦(文春文庫 1984)
『夜明けの新聞の匂い』曽野綾子(新潮文庫 1990)
 この美人作家は、老いてますます健在で、老人には耳が痛い話題に富むが、読後感は、精神衛生上においても、非常にいい。

『低空飛行』丸谷才一
『風に訊け』開高 健
『人間の蚤の市』高峰秀子
『時代を読む』鮎川信夫
『本とつきあう法』中野重治
『残る本 残る人』向井敏
『鞍馬天狗のおじさんは』竹中労
『男たちへ』塩野七生
『人とこの世界』開高 健
『努力論』幸田露伴
『機械仕掛けのホモ・サピエンス』古川俊之
『環境先進国日本』長谷川慶太郎
『論語の新研究』宮崎市定
『日本人とは何か』山本七平
『文明の生態史観』梅棹忠夫
『生命の意味論』多田富雄
『歴史の世界から』司馬遼太郎
『歴史の中の日本』司馬遼太郎
『古往今来』司馬遼太郎
『歴史と視点』司馬遼太郎
『日本史の誕生』岡田英弘
『江戸時代』大石慎三郎
『文明の海洋史観』川勝平太
『日本史からみた日本人』渡部昇一
『用心棒日月抄』藤沢周平
『三屋清左衛門残日録』藤沢周平
『隠し剣』藤沢周平
『私が殺した少女』原尞
『あなたに似た人』ロアルド・ダール
『隅の老人の事件簿』バロネス・オルツィ
『天上の青』曽野綾子

□今日の読書 ★★★★☆

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2008年11月 5日 (水)

「これから―50代の居場所」 夏目房之介

[金子光晴の老い方]

 金子光晴「衆妙(しょうみょう)の門」(桜井滋人による聞き書き)という本がある。
 大学を出たばかりの私は、これで金子光晴のファンになった。詩や文のほうはほとんど知らないが、この本にあらわれる金子老人に惚れたんである。
 もういきなり最初から最後まで女遍歴の話。猥談。きわどい話。そればっかし。
 当時私がもっていた老人というイメージからは想像もつかない、びしゃびしゃと音をたてそうな生々しい口調。それでいて下卑たいやらしさのない堂々たるスケベ。こんな老人が目の前にいたら、思わず一日中でもお話をうかがってしまうに違いない。

 人に聞いたところによると金子老人、初対面のときはムスッとしていかにも偏屈。こりゃかなわんなと思っていると、いきなりスケベの話を始めるのだという。写真で見るかぎり、眼光鋭い、いかにも偏屈そうな老人であった。そりゃたしかにドギモを抜かれるだろう。

 たとえば百戦錬磨の三十代の女性に、あっちの達人について聞く部分はこんな調子だ。<<赤坂の太鼓もちの名人がいたてえの。これは長襦袢でそろりと入って、ああはじまったな、と思うともう何もわからなくなっちまうんだって>>

 うーん、すごそうである。で、その女性がそのあとでいうんだそうである。
<<でも、ああいうの技巧がすぎて、あとで嫌なものよ。やっぱりあなたのようなのがいいわ>>
 うふふ。なるほど。柳家三亀松(みきまつ)(って誰も知らないか)。歳をとると、こんなことも話せちゃうのか、と初めて読んだ頃は思った。

 あこがれのジジイ群像を並べてみてわかるのは、私のあこがれる追い方にモノサシになりうる共通項がある、ということだ。

 その一。老いの自然な芸を感じること。すなわち彼の存在自体が面白いこと。
 その二。後悔や未処理な感じを与えないこと。後悔や未処理なことは、ふつうに人生を送っていれば、誰だってきっとあるにはちがいないが、もはやそれとは別の心の居場所ももっている感じがするということだ。
 この心の居所については、かすかながら推測がつく。後悔や未処理なもの、冷や汗ものの実人生があればあるほど、しまいにはそれをどっか別の場所から他人事のように見ないと人間をやっていけなくなる。そんな、実人生や人間そのものを、遠くから眺めざるをえない場所である。

 漱石は理不尽にこわい父親だった。父もそうで‥‥、若い頃の私も‥‥、だから今の長男もそうらしい。因果応報とはこのことか。トホホ

□今日の読書 ★★★☆☆

これから―50代の居場所 (単行本)

夏目 房之介 (著)

Korekara

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2008年11月 3日 (月)

「奇跡の10倍整理術」 ジェフリー・ジェイメイヤー

[60パーセントの"不用品"をいますぐ追い出せ]
 あなたの机の上に目をやってほしい。いったい何が見えるだろうか。さらに言えば、見えないものは何か。
 もし、机の表面がごく一部しか目に入ってこないようなら、あなたは、"積み重ねマニア"に陥ってしまっている。本来の目的通りに机を利用していない。したがって、仕事の能率も生産性も、あなた本来の能力どおりに上がっていないのだ。明らかに貴重な時間を浪費してしまっている。
 机の上を整理することによって、かなりの時間の節約ができるようになる。ただ単にやり残しのある仕事に関する資料や書類をすぐに取り出すことができるというだけで、ずっと能率は上がるのである。

 冷静になって机の上を見直し、余計なものすべて捨てて系統立てて整理すること。単に机の上をきれいにすればいいというのではない。常に自分の頭の中できちんと系統立てて整理された状態にしておくようにする。本当に問題にしなければならないのは、「時間と金の節約」である。あなたの仕事の質と時間の使い方を向上させることが肝心なのだ。

[一分一秒を効率よく生かすこの工夫]
 まず、大きな紙の上に一日の時間帯を書き込んでほしい。この表が、あなたの一日の仕事の計画を系統立ててこなしていく習慣を身につけるための有力な武器となるのである。

 まず、マスター・リストを参照しながら、翌日の行動計画を左の「本日の予定」欄に細かく書き込んでおく。
 商談や打ち合わせのアポイントメント、電話をする相手名、日常的な連絡作業やデスワークなど、予定している時間のところにきめ細かく記入する。この日程表に多くのことを書きすぎないかと心配する必要はない。
 ここで大事なことが、自分の時間についてスケジュールを組んだり、コントロールすることがどんなことかの感じをつかむことである。そして、この作業は、一日の仕事を終え、退社する前の最後の作業として行う。

 翌日、出社したあたなには、その実行を思い出させ、迂回への注意を促すものが二つ待っている。マスターリストとカレンダーである。
 そのスケジュールを忠実に実行することだ。重要な仕事を棚上げし、安易な作業に迂回しそうになったら、そこで厳しく自分を戒める。そうすれば、時間を有効に活用することができ、仕事は予定どおりに進んでいく。
 第二の方法もやはりスケジュールの厳守に関するものである。確かに日常的な事務処理作業を軽んじてはならない。得意先や顧客に手紙を書いたり、電話をかけたりということも、あなたにとっては大切な仕事の一環だ。
 だが、私が指摘したいのは、なぜ、そういう重要度が低い作業を、(より集中力や切れのいい頭脳の働きを必要とするという意味で)一日のうちで最も生産性が高くなる時間帯にわざわざ行うのか、ということなのである。あるいは、一日中ダラダラとそういう作業を優先させて行っているのか、ということである。これでは、明らかに一日中「棚上げシンドローム」に陥ってしまっている。

[朝一のミーティングほどもったいないものはない]
 朝のミーティングをすべて11時以降に行うことにして、それ以前の時間は最も重要な仕事にあてるのだ。

[先のばし、棚上げは、時間の借金をするようなもの]
 作家のマーク・トウェーンは次のような忠告を残している。
「あさってでもできるようなことを、明日まで延ばすような真似は絶対にするな」
 いつでもできることなら、今すぐやってしまえということを、皮肉をこめて言ったものである。
 問題は、先送りにしたことは最終的に決してなしえないということである。あるいは、ようやくなんとか重い腰を上げて作業に取りかかる頃には、タイム・リミットが間近になっていて、精神的な重圧が非常に大きくなっている。だから、実力を十分に発揮できずに終わってしまう場合が多い。

[割に合わない"殉教者"になることは拒否しなさい]
 新しいプロジェクトの担当を要請されたり、現在進行中の仕事関連の追加作業を頼まれたりすれば、現在、自分が抱え込んでいる未完了の仕事のことなどまるで考慮に入れず、とにかく「YES」と答えてしまってはいないだろうか。
 それが出世への道だと思っているからそうしているのか、上司にいい印象を与えたいから無理を承知で引き受けるのか、それとも、"殉教者"になりたいのか。

□今日の読書 ★★★★★

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