「掛けていい保険いけない保険」 相川 司
[これが保険料の仕組みだ]
[適正な保険料とは]
最近の契約者のニーズの変化に伴い、生保商品は脂肪保障型から生前給付型にシフトしている。だが、適正な保険料という観点から論議されることは、少ないようだ。
生保会社からすれば、死亡保障型(終身保険、定期保険)は過去の死亡率などのデータがあるので、保険金支払い学とそれに見合う保険料の予測は比較的容易である。
ところが、生前給付型の代表というべき医療保険は近年開発された商品であり、どうしてもデータ不足の感は否めない。しかもこの分野は、医療技術の進歩・革新によって将来の治療費が左右されたり、健康保険などの公的制度が改正されたりと、取り巻く環境が今後変動する可能性は非常に高い。
[契約者配当の意味]
各年度の決算で契約に従って契約者に還元するのが、契約者配当。契約者からすると、とかく株式配当や預金利息をイメージしがちだが、実のところは予定ベースで徴収された保険料の清算に近い。
生保商品は配当の有無によって有配当型、無配当型に分けられるが、有配当型では利源の利差益が出れば契約者に還元される。だが、逆ざや状態では予定利率は約束されるものの、配当は出ないのが現状である。なお無配当型では、配当を前提としないので、保険料はその分低めに設定されている。
[ガン保険と3大成人病保障保険とは?]
[医療保険とガン保険]
医療保険は、これから述べるガンを含むすべての病気やケガを保障する。それに対してガン保険は脂肪する確率が高いガンだけに給付を限定した商品である。日本ではガンで脂肪する人が最も多く、3人に一人の割合で、死亡者数は年間30万人強。
医療保険には「一入院」の限度日数や見なし方が存在するが、ガン保険には支払い限度日数がなく、無制限に給付を受けられるのが、最大の特徴になっている。
ただし、この保険にはさまざまなタイプがあるので、以下の点はパンフレットなどで確認した。
○「待ち期間」の存在
以前は契約から3カ月経過しないと入院給付金が出ない、「待ち期間あり」の商品が多かった。しかし、最近では一日目から支払われる商品も登場している。
○上皮肉ガンの取り扱い
ガンには①上皮肉ガン(上皮内新生物)と②ガン(悪性新生物)の2種類がある。早期ガンともいわれる①は、転移する可能性がなく完治できるので、厳密な意味でのガンではない。
そこで、従来は①を保険対象から除外した商品が多かったが、最近では①&②を対象とする商品も増えてきている。ちなみにガン治療に要する医療費の事故負担額は、40万円強とされる
○先進医療への対応
海外では認められた最新のガン治療法であっても、日本の公的健康保険制度では対象外とされることがある。その場合は、自由診療扱い(高額療養費制度も適用外)となり、医療費の自己負担額は嵩む一方になる。このリスクをカバーしたのが、セコム損保が発売した自由診療対応型のガン保険「メディコム」だ。
もちろん医療保険とガン保険に加入しておけば、病気への全方位外交として問題はないのだが、あえて究極の選択として「医療保険orガン保険のどちらに入るか?」と問われれば、筆者自身はためらわずにガン保険を選びたい。
というのも、通常の病気ならば「高額療養費制度+預貯金」でも対応可能だが、一度ガンに罹患するとガン保険には加入できず、長い病気の苦しみなどを考えれば、若い時からガン保険にだけは入っておいたほうがいい。
○日本人の死亡原因はガンがトップで、心臓病(急性心筋梗塞)、脳卒中と続く。この3つの病気が死亡原因の60%を占めており、3大成人病という。
その治療費をカバーするのが3大成人病保障保険で、被保険者が3大成人病によって所定の状態になったときには、死亡保険金と同額の特定疾病保険金が支払われる。ところが、イメージとは裏腹に、支払い面では医学的なハードルが高く、専門的な用語も多く、単純に「罹患→即支払」ではないから、ムードに流されてとか、安易な気持ちでの加入は避けた方がいい。
[医療保険・よくある質問]
○医療保険は単品で
Q医療保険には単品とセット商品(主契約+特約)があるようですが、どちらに加入したほうがいいのでしょうか?
A家族が個々に単品で加入する方が、個人主義の時代にはマッチしていると思います。たとえば夫の死亡保障型保険に医療特約をセットする商品では、保険料の払い込み方法が更新型の商品が多く、老後の保険料負担は大きくなります。
核家族化が進みかつ収入増が見込めない時代ですから、まず保険料が定額の単品を選択すべきでしょう。たとえば[夫・妻=終身医療保険(単品)+ガン保険(単品),子供=子供保険(医療特約付き)]とすれば、保険の重複が発生せず、実際のライフサイクルに合わせた管理も容易になります。
○ガン保険は終身保障タイプで
Q特定の病気-ガンに備えたガン保険やガン特約では、再発したりした場合でも給付金は支払われるのでしょうか?
A最近のガン保険(単品)では、完治して一定期間(たとえば2年)経過後に再度ガンと診断されたときは、給付金が支払われる商品が多くなっています。もちろん、同じガンでも他の箇所に転移した場合でも構いません。ただし、会社によって販売条件が異なりますので、よく確認してください。
次にガン特約も機能的には一緒ですが、主契約にオプションとしてつけるので、更新型を選べば老後の保険料負担が重くなります。従って、ガンは単品の終身保障タイプを選択すべきでしょう。
○3大成人病保障保険は一回限り
Q同様に特定の病気をカバーする3大成人病保障保険(or特約)では、病気が再発した場合に給付金は支払われるのでしょうか?
Aガン、急性心筋梗塞、脳卒中のいずれかになり、一定条件を満たせば生前に特定疾病保険金が支払われ、その時点で契約は消滅します。従って複数回にわたる保険金支払いはありません。
なお、この保険は医学的な認定条件が厳しい面があります。決してどんなときでも、保険金が出るわけではなく、単品の「医療保険+ガン保険」に比べれば、加入の優先順位は低いと思います。ちなみに特約タイプは、保険料が更新型の商品が多くなっています。
○無選択型医療保険は割高
Q誰でもが入れる無選択型医療保険では、たとえばガンの人でも加入できるのでしょうか?
Aガンの人でも加入できますが、加入後にガンが再発したようなケースでは、給付金の支払いがない商品が主流です。保険料は割高です。
通常の医療保険にも特定部位の割り増し保険料を払う方法がありますので、無選択型に飛びつくのはいささか拙速な印象を受けます。
[「ご契約のしおり」を大切に]
ご契約のしおりには
①契約時の注意事項
②契約締結後の通知義務などの注意事項
③事故が起こったときの手続き
④保険金の師習いに関する事項
などが記載されている。
保険料を払っているのだから、契約者が損するというのは保険金をもらい損ねるケースだ。
また、契約が損害をカバーするにもかかわらず、加入者自身が気付かなかったり、「この加入契約では、支払われないだろう」と先入観を持ってしまうケースも多い。いわば、無意識の請求漏れである。
[保険金支払い、不支払い」のケースには目を通し、その過程で重複している補償があれば、見直して保険料負担の軽減に努めるべきだろう。家計が苦しい中で、医療保険(病気、ケガを補償)を掛けていれば、損保の損害保険(ケガを補償)の必要性は乏しい。そういった割り切り方もある程度必要だろう。
□今日の読書 ★★★★★
掛けていい保険いけない保険
相川 司
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