「変貌する自衛隊と日米同盟―9条2項の抹消で「軍事国家」は完成する」 梅田 正己
[自民党「新憲法草案」と「日米同盟」合意文書]
2005年10月29日、自民党の「新憲法草案」が新聞各紙に発表されました。1955年の自民党の結成からちょうど50年、結党のときから党是としてきた「憲法改正」の仕上げの段階にとうとう突入したのです。
同じ改憲の立場に立つ読売新聞は、同日の社説で「戦後の憲法論議の歴史上、画期的なことである」と歓迎、高く評価しました。自民党草案の核心部分は、いうまでもなく現行憲法9条の改変です。
現行憲法の9条は二つの項目から成り立っています。1項は「戦争と、武力による威嚇・武力の行使の放棄」であり、2項は「戦力の不保持・交戦権の否認」です。
なぜ、自民党草案は、「戦争放棄」の1項は残して、2項だけ削除したのでしょうか。
同じ10月29日、日米安全保障協議委員会は、在日米軍の再編に関わる合意文書を発表しました。この委員会は、日本の外務大臣と防衛庁長官、米国の国務長官と国防長官で構成され、「2プラス2」と通称されるものです。
発表された合意文書は、マスメディアがこぞって「中間報告」と銘打って報道したため、このあとに最終決定をひかえた中間的な報告であり、また世界的な米軍再編とのかかわりで在日米軍基地の再配置の方針を定めたものだというように一般には受け取られました。
しかしこの文書はそんな生易しいものではありません。そのことはなによりもそのタイトル「日米同盟--未来のための変革と再編」に明瞭に示されています。
つまりこれは、日米軍事同盟の今後のあり方を規定し、そのための日米両軍の「変革と再編」について取り決めた文書だったのです。したがって、そこには、米軍再編・在日米軍基地の再配置の青写真とあわせて、自衛隊の再編、自衛隊と米軍との軍事的癒着ともいうべき一体化の方向が示されていました。一言でいえば、日米軍事同盟の再構築のための米軍と自衛隊の変革・再編の方向を決定づけたのが、この文書だったのです。
自民党の「新憲法草案」は、現行憲法の9条の2項を削除して、かわりに「九条の二」を新設し、その①項で「自衛軍」の保持を明記するとともに、その③項で「自衛軍は……国際社会の平和と安全を確保するために強調して行われる活動……を行うことができる」としています。
ここの自民党が改憲を切望する理由が示されています。つまり自衛隊を、海外に出て多国籍軍に参加し、あるいは米軍の有力な同盟軍として共同作戦を遂行できる「軍」にしたいということです。
[参議院・自衛隊海外出動禁止決議と自衛隊の発足]
「戦力」の保持を禁じた憲法と自衛隊の関係についての吉田首相の回答は、相変わらず「戦力を持つ軍隊は持たない」という「戦力なき軍隊」論の繰り返しである。
しかし、自衛隊の海外出動については、木村保安庁長官とともに、それは「行わない」と明瞭に答えている。
54年6月2日、参議院本会議は、自衛隊の海外出動禁止の決議を採択した。
[自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議]
本院は、自衛隊の創設に際し、現行憲法の条章と、わが国民の熾烈なる平和愛好精神に照らし、海外出動はこれを行わないことを、ここに更めて確認する。
こうして発足した自衛隊の当時の兵力は、陸上自衛隊13万人、海上市営体が艦艇5万8千トンと航空機約50機、それに航空機150機を擁する航空自衛隊が新たに設置されていた。陸海空の三軍がこれでそろったわけである。以後、五カ年計画を積み重ねることによって自衛隊の兵力・装備は急ピッチで増強・更新されていく。
[小泉首相の答弁]
2003年5月20日の参院有事法制特別委員会で、小泉首相は質問に答え次のように述べた
私は、自衛隊が我が国の平和と独立を守る軍隊であることが正々堂々と言えるように将来、憲法改正が望ましいという気持ちをもっているが、未だにその機運には至っていない。
外国の侵略に対して戦う集団となれば、外国から見れば軍隊とみられても当然でしょう。日本では憲法上の規定がある。自衛隊を軍隊と呼んではいない。そこが不自然だから、憲法を見直そうじゃないかという議論がいま出ている。
私は実質的に、自衛隊は軍隊であろうと。しかしそれを言ってはならないということは不自然だと思う。いずれ憲法でも自衛隊を軍隊と認めて、違憲だ合憲だという不毛な議論をすることなしに、日本の独立を守る戦闘組織に対して、しかるべき名誉と地位を与える時期が来ると確信している。
この発言は、さすがにこの後、6月5日の衆院本会議で共産党の松本善明議員から「憲法尊重を義務づけられた首相として暴言だ」と追及され、修正された。自衛隊は依然として、いまも「軍隊」ではないのである。
[妄想が現実なったゲリラの脅威]
日本への可能性について--
・北朝鮮 「ある」
・中国 「小さい」
・ロシア 「極めて小さい」
・国家でないテロ組織 「小さい」
そして北朝鮮については、こう記されていた。「経済や米朝関係悪化などが原因で紛争が起きた場合、在日米軍基地と日本の政治や経済の中枢機関を狙った弾道ミサイル攻撃や2500人規模の武装工作員などによるテロ攻撃の可能性がある。
また中国については、「日中関係悪化や尖閣諸島周辺の資源問題が深刻化したりした場合、中国側が一個旅団規模で離島などに上陸するケースや、弾道ミサイルや、航空機による攻撃のほか、都市部へのゲリラ・特殊部隊(約二個大隊)の攻撃を想定している。」
どうだろうか、これが自衛隊の最高の頭脳が描き出した"脅威"の見積りである。
それによると、北朝鮮が侵攻してくるときは2500人もの武装工作員(ゲリラ)を送り込んでくるという。長年にわたり武力衝突を重ねていた地続きの韓国に対してさえ、北朝鮮が送り込んだ工作員はせいぜい数十人単位だった。2500人という数字がどんな根拠からはじき出されたのか、見当もつかない。
中国の「都市部へのゲリラ・特殊部隊の攻撃」というのも噴飯ものだ。一大隊は約1000人だから、二個大隊といえば2000人。大国・中国が何のためにゲリラを送り込まねばならないのか、その説明がつかない。ゲリラというのは、戦力において圧倒的に劣勢な側が用いる戦法である。ナンセンスというほかない。
[小泉首相の諮問機関「安保・防衛懇」が描いたビジョン]
2005年から新「防衛大綱」による中期防をスタートさせたが、その役割を果たしたのが、小泉首相の私的諮問機関「安全保障を防衛力に関する懇談会」(略称:防衛懇)だった。
この「安保・防衛懇」は、後で見るようにきわめて重要な役割を果たした。それなのに、一般にはその構成メンバーの名はほとんど知られていない。そこで次に、首相官邸のホームページからそのメンバーを紹介しておく(肩書は当時)
・荒木浩 座長・東京電力顧問
・張富士夫 座長代理。トヨタ自動車株式会社社長
・佐藤謙 元防衛事務次官、財団法人世界平和研究所副会長
・西元 徹也 元防衛庁統合幕僚会議議長。日本地雷処理を支援する会会長
・古川 貞二郎 前内閣官房副長官
・柳井 俊二 前中米大使、中央大学法学部教授
・五百旗頭 真 神戸大学東洋文化研究所教授
・田中 明彦 東京大学東洋文化研究所教授
・樋渡 由美 上智大学外国語学部教授
・山崎 正和 東亜大学学長
[陸幕の秘密資料]
2004年9月 陸幕の秘密資料によると、北朝鮮の特殊部隊が800人から最大2500人規模で「日本崩壊」をめざして侵攻してくるという。
潜入方法は、
①工作母船が日本近海まで半潜水艇を運び、特殊部隊が侵入
②レーダー探知しにくい木製航空機で夜間、低高度でゴルフ場や広場に着陸
「半潜水艇」で潜入してくるのだそうである。どういう兵器なのだろうか。またレーダーにかかりにくい「木製航空機」がよるのゴルフ場に降りてくるという。グライダーみたいなものなのだろうか。しかしグライダーなら、北朝鮮から日本海を越えて自力で飛んでくることはできない。それに運べる人数も、グライダーの類ならせいぜい数人から十数人だろう。数百人を運ぶとして、何十機を用意するのだろうか。
「攻撃目標」としては、政府機関や原発はじめ七種類、135カ所が想定されている。とくに原発には原子炉制御室に自衛隊員を配置し、首相官邸の周辺の建物には狙撃チームを潜ませるのだそうだ。
なんだか劇画のシナリオをみている感じだ。
[作られた脅威に決別し、米国から自立する]
ところで、憲法9条の改変--9条2項の削除により、日本は平和国家から軍事国家への道を歩み始めるのだと思っている人も少なくないように思われる。
しかし、そうではない。
9条2項の削除・抹消によって、「軍事国家」としての日本は完成する。
それによって日本は、米国にとって現在の英国がそうであるように、同国にとって本来の軍事「同盟国」となるのである。
それによって自衛隊は、もはや米国の「追加的かつ補完的な能力」ではなく、頼りがいのある「同盟軍」となるのである。
□今日の読書 ★★☆☆☆
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変貌する自衛隊と日米同盟―9条2項の抹消で「軍事国家」は完成する 著者:梅田 正己 |
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コメント
今の日本政府は邪悪そのものだ。公務員が平気で犯罪をやっている。東大法学部の憲法の教授までが平気で痴漢をやる時代である。自民党と取り巻きだけが殺人や強盗を捕まらないでできるようにしてしまったのだ。その結果、何の罪もない新井泉さんを二十四時間中監視し続け食事も睡眠も与えないで虐待して殺害した。彼らは強制的に、無実の者に悲惨な人生を送らせて殺害している凶悪な悪魔だ。政府の中にいる犯人どもは自分は優雅な犯罪人生を楽しんだうえに、彼らにとって都合の悪い人間を強制的に殺害している。そういうヤクザのような仕組みがこっそりと今の日本政府にできてしまっているのだ。公務員は自分が捕まらないでいくらでも犯罪ができるように勝手に法律を無視して暴行や略奪をやっている。警察もグルだから、犯人を捕まえる側がまったく捕まえようとしない。こうして、公務員はありとあらゆる凶悪犯罪を得意になって犯している。だから、凶悪犯罪のうえに成り立っている日本政府を滅ぼさなければならない。
投稿: 友里子 | 2007年6月25日 (月) 05時21分